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日本書紀(にほんしょき)

日本最初の官撰国史。全30巻,系図1巻(現存しない)。舎人(とねり)親王らの撰で,720年(養老4)5月21日完成,奏上。編纂の開始は天武朝と推測される。「続日本紀」は「日本紀」と記すが,「日本書紀」が正式の書名であったと考えられる。巻1・2は神代巻で神話的物語。巻3以下には神武から持統までの天皇の代の歴史を中国正史の本紀と同様に編年体で記している。編纂に用いた材料は,「帝紀」「旧辞(きゅうじ)」のみでなく,朝鮮関係史料,諸氏の伝承,地方の伝承,寺院縁起など多様で,7世紀後半からは個人の日記も加わる。また神代を中心に「一書に曰く」として異なる伝承を並記している。文体は正格漢文であるが,中国の正史・古典・仏典による潤色が著しく,「芸文類聚(げいもんるいじゅう)」などの類書を参考にして文章を作っている。雄略・継体以後,朝鮮半島との交渉関係の記事が大きな比重を占め,7世紀初めの推古紀あたりから朝廷の記録をもととしているらしく,史料としての信憑性がます。ただし大化の改新以降も天智紀までは潤色やおそらく壬申の乱による混乱があり,注意が必要で,ほぼ信頼できるのは天武紀・持統紀である。朝廷では最初の正史として重んじられ,10世紀まで7回の講書が行われた。「日本古典文学大系」「岩波文庫」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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