日明貿易(にちみんぼうえき)
14~17世紀の日本と中国の明との貿易。日本国王(懐良(かねよし)親王・足利将軍)の名義で派遣された遣明船(勘合船)による貿易と,倭寇(わこう)などによる密貿易がある。遣明船は,1401~1547年(応永8~天文16)に19回派遣され,1404年以降の17回は勘合の所持を義務づけられた。貿易形態は,日本国王・遣明使の朝貢品と明皇帝の回賜(かいし)品の交換のかたちで行われる進貢(朝貢)貿易と,遣明船の乗員による公貿易・私貿易の3種類がある。進貢貿易は,馬・刀剣・硫黄(いおう)・硯・扇子・屏風などを献上し,羅・紗などの高級絹織物,白金や巨額の銅銭などが回賜された。公貿易では,遣明船の付搭(ふとう)貨物(国王付搭品)を明政府と貿易し,刀剣・硫黄・銅・蘇木(そぼく)・蒔絵(まきえ)漆器などを銅銭・絹・布などと交換。刀剣は大量に輸出された。私貿易は,遣明船乗員の私的な貨物を中国商人らと取引した。寧波(ニンポー)の牙行(がこう)との貿易,北京(ペキン)の貿易場の会同館(かいどうかん)での貿易,北京から寧波への帰路の沿道で行われる貿易の3種類がある。輸出品は公貿易と同じ。輸入品は生糸・絹織物が主流で,ほかに麻布・薬種・砂糖・陶磁器・書籍・書画・銅器・漆器など。遣明船途絶後,中国からの渡航船や倭寇との密貿易で,中国の物資が多く日本に運ばれた。日本からは銀が大量に輸出された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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