日元貿易(にちげんぼうえき)
鎌倉~南北朝期の日本と中国の元との貿易。元寇のため,日元間に外交関係は成立しなかったが,民間レベルでは活発に貿易船が往来し,元に留学する禅僧や,元から来日する禅僧も多く乗船した。元は泉州・広州・慶元(現,寧波(ニンポー))などに市舶司(しはくし)を設けて貿易を管理し,貿易船は慶元と博多を往来した。13世紀末には元の貿易統制がきびしくなり,公貿易のみ許可され,市舶司発行の渡航証明書である公憑(こうひょう)の持参が義務づけられた。14世紀に幕府や朝廷公認の寺社造営料唐船(じしゃぞうえいりょうとうせん)が派遣された。新安沈船(しんあんちんせん)もその一つ。元への輸出品は金・日本刀・扇子・螺鈿(らでん)・蒔絵(まきえ)・硫黄(いおう)・銅など。元からの輸入品は銅銭・香料・薬品・書籍・茶・陶磁器など。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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