二条河原落書(にじょうがわららくしょ)
建武の新政を批判・風刺した落書。後醍醐天皇による建武政権発足後の1334年(建武元)または翌35年の8月に,後醍醐の政庁の二条富小路殿にほど近い二条河原に掲げられたとされている。作者は新政に不満をもつ公家または僧侶か。八五調と七五調をとりまぜた物尽し(ものづくし)形式で88句からなり,新政の矛盾と混乱した世情を一つ一つ指摘して鮮やかに批判し,新政の崩壊をも予見。落書史上の傑作と評される。建武政権の諸法令や職員の交名(きょうみょう)などを収集編纂した「建武記」(「建武年間記」とも)に収められたものが唯一で,ほかに伝本はない。「群書類従」「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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