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額田王(ぬかたのおおきみ)

生没年不詳。7世紀後半の万葉歌人。鏡王(かがみのおおきみ)の女。藤原鎌足(かまたり)の妻となった鏡姫王(かがみのひめみこ)の妹とする説もあるが,系譜関係などは明らかでない。天武天皇との間に大友皇子の妃となる十市(とおち)皇女を生んだ。「万葉集」に多くの歌を残す。伊予の熟田津(にきたつ)での船出を待つ歌は,斉明天皇が百済救援軍を率いて筑紫に船出する情景を詠んだものとされる。また近江遷都後の668年(天智7)に蒲生野(がもうの)(現,滋賀県近江八幡市安土町一帯)で狩が行われた際,大海人(おおあま)皇子との間に交した贈答歌はよく知られている。同じ頃天智天皇を慕う歌もあり,王の存在が天智と大海人の不和をうみ,ひいては壬申の乱の原因になったとする説もあるが,疑わしい。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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