隠密(おんみつ)
主君や上司などの密命をおびて探索に従事した者。戦国期には忍者(しのびのもの)などとよばれた。江戸時代に入ると,幕府や藩は隠密を用いてさまざまな情報を収集し,幕藩制の維持や統制に役立てた。幕府で隠密を勤めたのは,徒(かち)目付・小人(こびと)目付・御庭番・隠密廻同心などで,隠(かくし)目付ともよばれた。徒目付・小人目付は,老中・目付の命をうけて大名の動静や幕臣の行状などを内偵したが,ことに大名が城郭の修築を願いでた際には,小人目付が派遣され状況を調査した。御庭番は将軍直属の隠密で,将軍や側御用取次の指令をうけて,諸藩の実情,諸役人の行状,世間の風聞などの情報を収集した。隠密廻同心は江戸の町奉行所に属し,市中の動静を検索した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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