恩賞方(おんしょうかた)
建武政権・室町幕府に設けられた恩賞審査の組織。建武政権では,洞院実世(とういんさねよ)らを上卿(しょうけい)として,発足直後に設置された。実態は不明だが,決定権は後醍醐天皇にあり,しばしば審議結果が覆され上卿が交代したという。1334年(建武元)5月,4番制で各頭人が雑訴決断所の頭人を兼ねるかたちに整備された。室町幕府でも成立直後に設けられ,将軍足利尊氏の出席する給与決定の場と,恩賞地の選定にあたる場からなり,執事高師直(こうのもろなお)らが参加した。足利義詮(よしあきら)以後,実質的な活動は少なくなるが,評定にかわって整備される御前沙汰の基盤となる。室町後期,御前沙汰に参加する奉行人を恩賞方衆とよんだ。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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