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尾張国郡司百姓等解文(おわりのくにぐんじひゃくしょうらげぶみ)

「尾張国解文」とも。988年(永延2)尾張国の郡司・百姓らが国守藤原元命(もとなが)の非法を31カ条にわたって列挙し,中央に訴えた文書。内容は強圧的な正税出挙(すいこ),交易雑物の買上値の操作による蓄財,税帳などの公文書偽造,勤務状態の悪さ,官符の未布告,子弟・従者の乱暴など多岐にわたる。その内容が国務の詳細に立ちいっているところから,百姓とはあるものの,任用国司や在庁官人らがかかわって作成したものとの疑いも濃い。10世紀以降,地方行政が受領(ずりょう)に委任され,彼らへの権力集中が進展する一方で,地方の権力機構から排除された任用国司や郡司ら地方有力者の反発を背景にして作成されたものである。「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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