御林(おはやし)
江戸時代,領主が設定した直轄林。藩によっては留山・立山・直山(じきやま)などともよぶが,幕府は御林・公儀林ということが多い。林業活動を目的とするものと,治山治水・砂防などを目的とする保安林に大別できる。後者は,公的社会的機能をもつものとして古くからあったが,幕府は国家公権として公的機能を拡充するなかで御林として編成していったとみられる。前者は,江戸前期,城下町建築の進展にともない山林資源が急激に枯渇化する状況のなかで,領主層が山林資源の獲得や,経済的な効果を念頭に優良林を収公したもの。寛文期を中心に,寛永~享保期に設定され,地元の御林守が管理した。明治期に設定される国有林の大半は,この系譜を引く。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう