小野道風(おののみちかぜ)
生没 894~966.12.27 名は「とうふう」とも。平安中期の官人・能書家。葛絃(くずお)の子。正四位下・内蔵頭。醍醐・朱雀(すざく)・村上の3朝にわたって活躍。宮門の額や紫宸殿賢聖障子(けんじょうのしょうじ)の銘の執筆,願文や上表文の清書など,能書ぶりを裏づける記録は多い。朱雀・村上両天皇の大嘗会の悠紀主基(ゆきすき)屏風の色紙形揮毫は,道風が当代一の能書であることを象徴する。その書は王羲之(おうぎし)の書法を骨格とし,さらに豊麗で柔軟な筆遣いにより新書風を打ち出した。「源氏物語」にいう「今めかしうおかしげ」なこの書風は,のちの和様書道の基礎となった。道風の書は野蹟(やせき)と尊ばれ,藤原行成(ゆきなり)・同佐理(すけまさ)とともに,三蹟にあげられる。代表作「屏風土代(どだい)」「玉泉帖」「三体白氏詩巻」。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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