落窪物語(おちくぼものがたり)
平安時代の物語。4巻。作者・成立年未詳。「枕草子」以前,10世紀後半に成立。作者はあまり身分の高くない男性知識人と推測される。現存する最古の継子いじめ物語。女主人公は継母から冷遇され,裁縫仕事が上手なため次から次におしつけられるが,健気に耐えている。忠実な召使が女君をかばい,やがて立派な男君が通いはじめる。継母は妨害するが,女君は幸福になり,男君が継母に復讐するという話。自然描写はなく,霊験譚的なところもなく,合理的・現実的に人間を描き出す。因果応報・勧善懲悪の思想がみられる。「日本古典文学全集」「新潮日本古典集成」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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