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沖縄県(おきなわけん)

日本最南端の県。東西1000km,南北400kmの広大な海域に島々が分布し,亜熱帯の気候に属する。考古学や言語学などの研究により,島々に居住した人々が古い日本語を話し,日本文化をおびていたことがわかっている。縄文末期からしだいに個性化を強め,弥生文化の影響は少なく,古墳文化に至ってはその痕跡さえ見いだせない。12世紀頃から按司(あじ)とよばれる首長層の対立が激しくなり,14世紀には北山(ほくざん)・中山(ちゅうざん)・南山の3勢力が鼎立する時代を迎えた。中山の尚巴志(しょうはし)は1429年統一権力を樹立し,琉球王国が成立した。琉球は中国との外交・貿易関係を軸に,日本・朝鮮・東南アジア諸国と活発な海外貿易を推進するなど独自の発展をとげた。1609年(慶長14)薩摩軍の武力侵入をうけ,以後鹿児島藩の支配のもとに幕藩体制に編成されたが,一方で伝統的な中国との冊封(さくほう)関係は存続した。明治維新後の1879年(明治12)琉球の編入を目的に政府が軍隊・警察を動員して首里城の明け渡しを迫ったため,王国体制は崩壊し,沖縄県が設置された(琉球処分)。置県後,地域感情を考慮してゆるやかな改革が行われたが,1903年終了の土地整理後に本土並みの制度がほぼ設定された。近代化の進展にともなってハワイ・南米などへの海外移民が増加し,本土工業都市への出稼ぎも活発となる。太平洋戦争末期の地上戦の戦場となり,県民が戦闘に巻きこまれ4人に1人が命を落とした(沖縄の戦)。戦後のサンフランシスコ講和条約で日本の施政権から分離され,アメリカが直接統治するところとなり,各地に広大な米軍基地が建設され,基地優先の軍事施政が進められた。これに対し県民は1960年代から祖国復帰運動,反戦平和運動を活発に展開した。72年(昭和47)5月15日施政権が日本に返還され,沖縄県が復活した。復帰後は政府による格差是正事業が推進され,民間資本による観光・リゾート開発が進むなど急激な変貌をとげつつある。だが広大な米軍基地は温存されたままである。県庁所在地は那覇市。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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