大輪田泊(おおわだのとまり)
摂津国にあった港津。神戸市兵庫区の神戸港付近に比定される。この地は西方にある和田岬によって風や潮流の影響をあまりうけないため,停泊地として古くから利用された。三善清行の「意見十二箇条」では,天平年間に行基(ぎょうき)が設置した五泊(いつのとまり)の一つに数え,「行基年譜」も「大輪田船息」のことを記している。瀬戸内海航路の要地であるため,その維持には注意が払われ,修理にあたっては造大輪田船瀬使などが任命され,財源として船瀬荘が付設された。のち平清盛が防波堤として経(きょう)の島を築造したが,やがて大輪田泊の名は消滅し,かわって兵庫・兵庫津などとよばれるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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