大塚遺跡(おおつかいせき)
横浜市都筑区大棚西の比高40mの台地上にある縄文早・中期と弥生中・後期の複合遺跡。とくに弥生中期の環濠(かんごう)集落として知られる。環濠は幅4m,深さ1.5~2m,地形にそって繭(まゆ)状にめぐり,長軸200m,幅130m,面積2万2000平方メートルの規模。環濠の外側に土塁を設けていたことが推定されている。環濠内には約90軒の竪穴住居跡と10棟の倉庫跡がある。竪穴住居群は三つの群にわかれ,それぞれ一時期10軒ほどの竪穴住居と,1~2棟の倉庫から成り立っていたとされる。遺物は土器・石器・管玉(くだたま)・炭化米やモモの種子など。石器には各種の磨製石斧(せきふ)類が多く,関東地方では数少ない鉄剣形石剣もある。同じ尾根上のすぐ南東には当集落の墓域である方形周溝墓群の歳勝土(さいかちど)遺跡がある。両遺跡は国史跡。この地域の拠点集落としてだけでなく,弥生集落の構造理解にも大きな意味をもつ。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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