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大国主神(おおくにぬしのかみ)

記紀の神話にみえる神名で,スサノオと奇稲田(くしなだ)姫の6世の孫。偉大な国の主の意。オオナムチ・葦原醜男(色許男(しこお))・八千戈(八千矛(やちほこ))神・顕(宇都志(うつし))国玉神などの別名をもつ。「古事記」によれば,オオアナムジ(オオナムチ)がスサノオの試練をへてスセリヒメと結婚することによりこの名を与えられ,兄弟八十神を追い国土全体を支配した。その物語は(1)オオナムチが因幡の白兎を助け,八上比売(やかみひめ)と結婚したことにより兄弟八十神から迫害されるが,根堅州(ねのかたす)国へ渡ってスサノオの女スセリヒメを娶りオオクニヌシとなる物語,(2)八千戈神のヌナカワヒメへの求婚と,スセリヒメの嫉妬と和解についての歌謡物語,(3)オオクニヌシがスクナヒコナおよび御諸(みもろ)山の神とともに国造りを完成する物語,からなる。こののちタケミカヅチの平定事業の際,葦原中国(あしはらのなかつくに)を天津神の御子に献上し,みずからは出雲大社に隠れた。オオクニヌシの名は「古事記」のほかには「日本書紀」一書にみえるのみである。葦原醜男としての活動は「播磨国風土記」にみられる。八千戈神はヤチ(多数)+ホコ(武具)であり,武威をたたえた名とされるが,ホコは男性の象徴ともみられる。この名では「古事記」の歌謡物語や「万葉集」に登場し,オオクニヌシの八島国に及ぶ色好みの徳を語るものとなっている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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