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往来物(おうらいもの)

平安時代~近代前期までに手紙文例集の形態で編纂された初等教科書の総称。往復一対の手紙を編纂した形態をとることからこの名がある。1066年(治暦2)に没した藤原明衡(あきひら)撰の「雲州消息」(「明衡(めいごう)往来」とも)が最古。形態的には,(1)明衡往来型(実際の消息や擬作を集め故実や儀礼に関する知識を与えたもの),(2)十二月往来型(12カ月の月順に時宜折々の消息の模範を示したもの),(3)雑筆往来型(消息に常用される語彙を集めたもの),(4)庭訓往来型(文例集と語彙集とを組合せて諸道の知識を与えたもの),(5)富士野往来型(消息文以外に,種々の文書の書式をあげて武家の教養を目的としたもの)がある。近世には約7000種も出版された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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