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近江猿楽(おうみさるがく)

日吉大社が鎮座する近江を根拠とした猿楽諸座の総称。鎌倉時代の活動は不明だが,室町初期には上三座と下三座の6座が活動していた。上三座は「風姿花伝」に「日吉御神事相随申楽三座」としてみえる,山階(やましな)・下坂(しもさか)(ともに滋賀県長浜市)・比叡(ひえ)(日吉,大津市)の3座で,下三座には,多賀(たが)社に関係した敏満寺(みまじ)(多賀町)・大森(おおもり)(東近江市)・酒人(さかうど)(甲賀市)の3座がある。これらの関係については「申楽談儀」に詳しく,敏満寺座が最も古く,上三座では山階座が惣領格であった。面作者の赤鶴(しゃくつる)や比叡座の犬王(いぬおう)(道阿弥)はとくに有名。江戸時代に大和四座に属した山科(山階)や日吉は近江猿楽の後裔。別に文明年間に京での演能記録のある守山の児猿楽もあった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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