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応天門の変(おうてんもんのへん)

平安前期におきた応天門の炎上をめぐる疑獄事件。866年(貞観8)閏3月,平安宮朝堂院の正門である応天門が東西2楼とともに炎上した。はじめ左大臣源信(まこと)に放火の疑いがかかったが,8月になり左京の人で備中権史生大宅鷹取(おおやけのたかとり)が,犯人として大納言伴善男(とものよしお)を告発し,政治的事件として表面化した。善男は尋問に対して強く否認したが,鷹取の女を殺し鷹取を傷つけた事件で調べられた善男の従者生江恒山(いくえのつねやま)・伴清縄(とものきよただ)が,善男が源信を失脚させるために子の中庸(なかつね)に命じて放火させたと自白。9月には善男父子ら5人が死一等を減じて遠流,紀夏井(きのなつい)・紀豊城(とよき)ら8人も流刑となった。善男らの田宅・資財も没収され,善男は868年に配所の伊豆で没した。事件の真相は不明だが,8月に摂政となった太政大臣藤原良房(よしふさ)が関与し,炎上事件を政治的に利用して善男・夏井ら有能な官人を排除したものと推定される。「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」はこの事件を題材とした絵巻。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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