御家流(おいえりゅう)
青蓮院(しょうれんいん)門跡尊円入道親王を始祖とする書流。青蓮院流・尊円流,また青蓮院が粟田口(あわたぐち)にあることから粟田流ともいう。御家流と一般によぶのは,青蓮院門跡に対する人々の敬意の表れと考えられている。尊円親王ははじめ世尊寺行房・行尹(ゆきただ)兄弟に書法を学び,さらに小野道風や宋の書風を加えて発展させ,一流を創始した。その書流は中・近世に流布して和様書道の中心となり,他派を圧した。平明で温和な書風であるところから,江戸初期には数多くの支流を生んだ。上は幕府の公用書体として,下は庶民教育の手本にされるほど幅広い支持層を得,隆盛を誇ったが,時代がくだるにつれて芸術性が失われ,形骸化して衰退した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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