梁塵秘抄(りょうじんひしょう)
平安末期,後白河上皇が撰んだ今様(いまよう)の歌詞集。「本朝書籍目録」によれば,もと20巻で歌詞集と口伝集各10巻であったか。明治末期に巻1(断簡),巻2のみ発見された。書名は虞公(ぐこう)と韓娥(かんが)の美声が梁の上の塵を舞いあがらせた故事にもとづく。長歌10首,古柳(こやなぎ)1首,今様10首,法文歌(ほうもんか)220首,四句神歌(しくのかみうた)204首,二句神歌121首,計566首を収める。仏教歌謡を中心に,神祇信仰,院政期の都市生活,庶民の日常をもりこむ社会史の資料としても有効である。巻1の伝本は綾小路家旧蔵(天理図書館蔵)巻子本など,巻2は竹柏園旧蔵(天理図書館蔵)2冊本が唯一の伝本で,正徹(しょうてつ)の孫弟子正韻の奥書をもつ。「新日本古典文学大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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