領事裁判権(りょうじさいばんけん)
領事が在任国に在住する自国民を,在任国の法権に服させず,本国法にもとづいて裁判する権利。ヨーロッパ商人の中近東などでの領事選任による自治に起源。キリスト教国民がイスラム国家のオスマン帝国から恩恵的に得た治外法権に由来し,ペルシア・中国・タイなどが欧米諸国と結んだ不平等条約についで,日本では1854年(安政元)日米和親条約付録を萌芽とし,安政五カ国条約で民事・刑事とも片務的に規定,居留地自治が成立した。実際の裁判判決が不公正でも上告は海外のため困難であった。条約改正交渉では82年(明治15)内地開放の条件に法権服従を提示,94年イギリスなどとの新条約で領事裁判はなくなり,99年実施により法権を回復。国際社会においては1949年のエジプトを最後に消滅した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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