律令制(りつりょうせい)
古代国家の基本法典である律と令およびその国制。広義には律令国家と同義であるが,むしろ国制の理念,本質的性格をさす。律令は唐のそれを手本としたので継受法ともいえるが,唐では律令格式(きゃくしき)と礼とで全体の国制を規定していたのに対し,日本では8世紀には集成法としての格式はなく,律令のみで全体を規定した点に特色があり,選択的に継受している。律令は外見上唐制に類似する部分が多いが,唐制を模倣し理想を掲げただけで現実には機能しなかった部分がある一方で,7世紀の国制を継承し,在地首長制など日本独自の構造に依拠している部分もあり,律令制と氏族制との二元的構造を考える説もある。9世紀には律令から格式の時代へ移行し,やがて律令制は崩壊するとされるが,律令制を広義に唐制を継受した国制ととらえれば,律令の規定は青写真的であり,礼の継受を含めて,律令制は9世紀以降に展開すると考えることもできる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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