律(りつ)

古代の法。律令のうちの律。今日の刑法にあたるもので,犯罪と刑罰を規定した法。中国では早くから発達し,隋・唐時代には高度で体系的な法として大成された。日本では7世紀後半から導入をめざしたが,条文の改変はわずかで,結果として中国と大差のない法典となった。日本最初の律は浄御原(きよみはら)律といわれてきたが,制定施行説・非施行説・未完成説・唐律代用説など諸説あって明らかでない。その後は大宝律・養老律が作成・頒行された。ただし,実際に律にもとづいて犯罪と刑罰が処断されたかどうかは疑問が多い。大宝律は全巻が散逸,養老律も全10巻のうち3巻を伝えるのみだが,逸文の収集によって,今日では大宝律のごく一部と養老律のかなりの部分を知ることができる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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