散所(さんじょ)
中世後期,京などに散在する非人や声聞師(しょうもじ),癩者などの集団,またはその集住地。もともとは本所に対していい,本来ではない場所を意味した。荘園領主(本所)に対し,その所領や別荘などをいい,権門勢家の正職員に対する各地の増員者を散所雑色(ぞうしき),散所召次(めしつぎ),散所寄人(よりうど)などと称した。中世後期になると,多数の商工業者が営業特権を求めて寄人や神人(じにん)となり新加神人などと称されたため,散所の呼称は廃された。かわりに非人などの賤民集団をさす語になり,その集団の長を散所長者といった。京都の葬送や癩者支配を独占する清水坂非人を本所非人としたため,京中に散在する非人集団は散所非人とよばれた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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