算額(さんがく)
江戸時代から明治・大正期にかけて寺社に掲げられた数学の絵馬。「算法勿憚改(ぶつだんかい)」によれば,算額奉掲の習慣は1660年代にはすでに定着していた。その頃,世間の数学者に挑戦する算額,その解答を書いた算額,解答に誤りがあるとして訂正を示した算額などが掲げられた。数学書の出版が困難だった時代の研究発表の一方法でもあった。算額に書かれた問題と解答を書き集めて数学の研究に利用する者も現れた。これに目をつけた藤田貞資は1789年(寛政元)おもに弟子の掲げた算額の問題を集めて「神壁算法」を出版,以後,算額集を出版する者が続いた。算額奉掲は塾の発展や家内安全,各自の研究祈願などさまざまな目的をもつ。算額によっても和算は発展した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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