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申楽談儀(さるがくだんぎ)

正しくは「世子(ぜし)六十以後申楽談儀」。能の伝書。世阿弥晩年の芸談を1430年(永享2)11月,子の元能(もとよし)が出家するに際し整理した書。唯一の完本だった堀家本(焼失)は末尾に「別本聞書」7条程度がつき,通常はそれも含めて「申楽談儀」という。本体は,序説と本論31条,結崎(ゆうざき)座座規,補遺からなる。猿楽・田楽史,役者の芸風や逸話,能面・装束,勧進能や式三番の故実,作能法や作者,音曲や演技に関する具体論など多彩な内容で,当時の能楽の実態を知る根本史料であり,具体的な芸論の記述も多い。元能自身の見聞も加わり,厳密には世阿弥伝書ではないが,能楽伝書としての価値は高い。「岩波文庫」「日本思想大系」所収。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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