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薩摩焼(さつまやき)

鹿児島県産の陶磁器の総称。文禄・慶長の役の際,島津義弘が招致した朝鮮の陶工が,1598年(慶長3)に鹿児島各地に土着した。義弘が陶工金海(きんかい)(星山仲次)らを用いて現在の姶良(あいら)市に開いた藩窯の系統の窯を竪野(たての)系といった。朴平意(ぼくへいい)らが住した東市来町美山(現,日置市)には苗代川系の窯が広まり,卞(べん)芳仲らは加治木町(現,姶良市)に竜門司窯系をおこし,1663年(寛文3)に小野元立坊(げんりゅうぼう)は横川町山ケ野(現,湧水町)に元立院窯を開くなど,4系統の窯が成立した。江戸前期の遺品は大半が竪野系の茶陶で,数は僅少だが茶入が多くを占める。18世紀には白釉・黒釉のほか,象嵌(ぞうがん)・鉄絵・三彩が焼かれ,19世紀には京焼の色絵を学び,薩摩金襴手(きんらんで)となって結晶し,明治期には輸出の花形となった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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