雑喉場(ざこば)
本来は,領主に上納する高級魚を中心に扱う魚市場に対し,もっぱら一般むけの雑魚の取引を行う市場のこと。大坂では,1618年(元和4)にそれまで天満町・靭(うつぼ)町にあった魚市場が上魚屋(かみうおや)町に移転し,幕府へ高級魚を納めて市内唯一の魚市場の特権をえた。しかし淀川沿いから離れ不便なため,魚の傷みやすい春・夏は川下の鷺島(さぎしま)で出張取引を始め,近隣の野田・福島村の漁師も雑魚や川魚を持参したのが雑喉場の始まり。のちすべての生魚取引が鷺島で行われるようになり,魚市場と雑喉場が同義になった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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