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冊封(さくほう)

「さっぽう」とも。前近代,中国の皇帝が周辺諸国の君長に対し冊書(さくしょ)・称号を授け,国王に封じること。冊封によって生じる関係を冊封関係といい,中国と諸国とは宗主国と藩属国という君臣関係になる。宗属関係の具体的表現が朝貢で,藩属国の使節は中国皇帝に対して,土産の物を献上して君臣の礼をつくし,皇帝は回賜(かいし)として多くの返礼物を与え,大国の威徳を示した。中国には,自身を礼・法を体現した文化地域すなわち中華とし,周辺地域は文化を知らない夷狄(いてき)とみる華夷(かい)思想が古来からあり,中華の威徳を周辺諸国に及ぼすのが冊封関係であると考えられていた。諸国の王は,自身の地位の正統性を中国から認められることで,自国内の王権の強化・安定をはかろうとして冊封に応じた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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