斎宮(さいぐう)
「いつきのみや」とも。古代~中世に天照大神の御杖代(みつえしろ)として伊勢神宮に奉仕した未婚の内親王・女王。本来の職名は斎王(さいおう)で,斎宮はその居所をさしたが,転じて斎王自身をさす語ともなった。伝承上の起源は垂仁朝の倭姫命(やまとひめのみこと)だが,制度が整備されたのは天武朝の大伯(おおく)皇女からで,天皇の代替りや父母の喪によって交替することとされた。卜定(ぼくじょう)されると宮中の初斎院(しょさいいん),つづいて嵯峨野の野宮(ののみや)で約2年間潔斎し,その後監送使や斎宮寮官人・女官らを従えて伊勢に群行した。平常は多気の斎王宮(斎宮)にいて,斎宮忌詞(いみことば)を用いるなど仏事や不浄をさけて潔斎に努め,伊勢神宮の三節祭(6月・12月の月次(つきなみ)祭と9月の神嘗(かんなめ)祭)には神宮に赴いて太玉串(ふとたまぐし)を奉じた。後醍醐天皇の祥子内親王で中絶した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう