禅(ぜん)
仏教の修行の一つで,心身を統一し迷いを絶ち真理体得をめざす。瞑想・静慮(じょうりょ)などと訳される。菩薩の実践徳目である六波羅蜜(ろくはらみつ)の第5に配される禅定(ぜんじょう)と同系統のもの。インドでは仏教成立以前からヨーガの実践の一つとして行われていたが,それは来世への昇天を目的に肉体を苦しめる行であった。釈迦はそれから苦行的要素を除き,現世で内省的悟りを求めるための修行として仏教のなかにとりいれた。原始仏教・部派仏教の段階ではその解釈をめぐって煩瑣な議論が行われたが,大乗仏教では達磨(だるま)の説にもとづき実践的利他行の面が重んじられた。中国では達磨の禅が継承・発展し,唐代に禅宗が成立,日本にももたらされた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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