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施薬院(せやくいん)

「やくいん」とも。本来は寺院などに付属し,病人を治療・救済した施設。聖徳太子が四天王寺に設置したとも伝えられ,興福寺にもおかれていた。730年(天平2)仏教信仰に篤かった光明皇后は皇后宮職に施薬院を設け,皇后宮職の官人が知院事などとして管理し,皇后宮職の封戸と藤原不比等(ふひと)の功封によってこれを運営した。「拾芥抄」によれば平安時代には五条の南,室町小路西にあって,独自の薬園を山城国乙訓(おとくに)郡に所有していた。東西悲田院とともに病人の治療のほか京内の死体処理などを行い,藤原氏の貧窮女性を救済する崇親院(すうしんいん)をも管理した。825年(天長2)従来の院預(いんのあずかり)を別当に改め,藤原氏1人・外記1人の2人を任じ,使・判官・主典・医師各1人をおいた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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