征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)
�@奈良末~平安初期,東北の蝦夷(えみし)を征討するために派遣された遠征軍の総指揮官の称。律令軍制では,戦時には天皇から節刀(せっとう)を賜り最高軍事指揮権を仮授された将軍または大将軍が,諸国から動員された軍団兵士制を基礎に戦時編成を行い,作戦行動をとった。東北蝦夷地帯への軍事進出や反乱鎮圧も基本的には律令軍制にもとづいて行われ,将軍は征東将軍・征夷将軍・征東大将軍と称された。8世紀末に始まる蝦夷勢力との全面戦争でもはじめは征夷将軍だった。794年(延暦13)大伴弟麻呂(おとまろ)が第3次遠征軍の征夷大将軍とされたが,802年第4次遠征軍の征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷勢力を平定し,全国の俘囚(ふしゅう)の統率を任としたことから,坂上田村麻呂が征夷大将軍の先例とみなされた。�A鎌倉幕府以後,江戸幕府にいたる武家政権の首長の称号。源平争乱期,平氏を追って京都を占領した源義仲が任じられ,鎌倉幕府を開いた源頼朝が1192年(建久3)に任じられて以降,鎌倉(源氏3代・摂家将軍・皇族将軍)・室町(足利氏)・江戸(徳川氏)と,代々の幕府の首長は朝廷から将軍宣下によって征夷大将軍に任じられた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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