神兵隊事件(しんぺいたいじけん)
1933年(昭和8)7月におきた民間右翼を中心としたクーデタ未遂事件。刑法施行後唯一の内乱予備事件として審理されたが,41年3月の判決は殺人予備・放火予備罪で,刑は免除された。事件の首謀者は愛国勤労党の天野辰夫,予備役陸軍中佐の安田銕之助(てつのすけ),井上日召系の僧侶前田虎男。首相・閣僚・内大臣らを殺害し,民政党・政友会の本部を襲撃後,皇道政治を復活し昭和維新を断行するとしていた。首謀者は決起者を「神兵隊」とよび,大日本生産党,国学院大学生のほか神武会(じんぶかい)大阪支部など7団体が参加。計画は3度変更され,計画実行前夜の7月11日に全員逮捕された。クーデタが成功したときは,臨時非常時内閣として東久邇宮(ひがしくにのみや)を首班に閑院宮など皇族を閣僚とする皇族総出内閣を計画していた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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