神宮寺(じんぐうじ)
神願寺・神護寺・神供寺とも。神仏習合思想にもとづき神に法味を献じるために建立された寺。多くは神社の域内にたてられ,社僧が住んだ。7世紀末から史料に現れ,早い例としては越前国気比(けひ)神宮寺,若狭国神願寺,伊勢国多度神宮寺などが知られる。のち宇佐八幡宮・石清水八幡宮・伊勢大神宮をはじめ各地の神社に併設された。神宮寺建立の背景には,はじめ仏法の力で神が業苦から救われるとの思想があったが,しだいに仏法によって神の威力を増すという思想も強まった。宗派的には天台宗・真言宗に属するものが多い。江戸末期まで続いたが,明治維新期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で多数の神宮寺が廃絶に追いこまれた。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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