心学(しんがく)
一般には江戸時代の陽明学や禅などの影響を強くうけた,心の修養を中心とする学問をいう。また江戸中期の石田梅岩(ばいがん)を始祖とする思想と,その普及のための教化啓蒙運動も心学とよばれる。後者はほかと区別してとくに石門(せきもん)心学という。町人層の社会的伸張を背景に,農工商三民の社会的役割を高く評価し,その人間的平等を強調したことが特色。創始者の梅岩は武士の道徳的優位性を鋭く批判,庶民の人間としての尊厳を説いた。梅岩没後の心学は庶民層に広く普及するだけでなく,武士の間にも支持者をみいだしていったが,社会批判は希薄になり一部を除いて思想的深化はみられなかった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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