職人尽絵(しょくにんづくしえ)
手工業者や芸能者などの生態を描いた,13~14世紀頃成立した絵画の一分野。初期には新奇な題材の歌合絵巻として制作された。現存作品では,花園天皇の所蔵だったとみられる「東北院職人歌合(5番本)」(1347年以前成立。東京国立博物館蔵,重文)が最も古い。絵は歌仙絵の形式にならって描かれる。この系統に高松宮家本,フーリア美術館本がある。以後,「東北院職人歌合(12番本)」「鶴岡放生会(ほうじょうえ)職人歌合」「三十二番職人歌合」「七十一番職人歌合」と職人の数を増し,職種の実態も詳しく描写されるようになった。流布本も多い。室町末期になると,「洛中洛外図屏風」中に職人の姿が描きこまれたり,色紙や屏風に独立画面として描かれたりするようになる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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