声明(しょうみょう)
仏教行事で僧侶によって唱えられる声楽。本来は古代インドの学問である五明(ごみょう)の一つで言語に関するサンスクリット語のサウダビジャの音写という。日本では梵唄(ぼんばい)や唄匿(ばいのく)とも称され,広義には法会(ほうえ)で唱えられる声楽全般をさす。狭義には四箇(しか)法要の各曲や各種の讃など外来の詞章と音楽形式を有するかそれに準じた和製曲をさし,それらを本声明という。本声明以外は雑声明に分類するが,祭文(さいもん)・表白・講式・論議・教化(きょうけ)などの日本語による伝達を目的にした曲に多い。また宗派によって唱法に真言声明・天台声明・浄土声明などの別を生じた。和讃や御詠歌など,僧侶という専門家ではなく,広く信徒などによって唱えられるものもある。声明は平曲・謡曲・浄瑠璃・長唄など日本の伝統音楽の発生に影響を及ぼし,その母体といえる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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