蕉風(しょうふう)
正風とも。芭蕉とその弟子およびその流れをくむ俳諧流派。談林末期の延宝・天和年間(1673~84)の漢詩文調の俳諧の流行は,衆目を引く新奇さをねらったものだったが,芭蕉は漢詩文のもつ詩的効果に注目した。江戸深川に隠棲したのちは,発句に緊張した詩情を求め,和歌・漢詩の伝統を踏まえながら卑近な素材を生き生きと蘇らせることに成功した。また,さび・しおり・細み・軽みなどの理念を追求,連句では余情を重んじたにおい・うつり・ひびきなどの理念を求め,匂付(においづけ)を完成した。芭蕉没後は分裂したが,俳諧を文学的に確立した功績は大きい。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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