正税帳(しょうぜいちょう)
税帳・大税帳とも。律令制下の公文(くもん)。諸国の正税の出納状況や現在量を記録した帳簿で,毎年正税帳使に付して2月末(大宰府管内は5月末)までに税帳枝文(えだぶみ)とともに中央に提出され,民部省・主税寮での監査(税帳勘会(かんかい))をうけた。勘会で不備や未納・欠負が明らかとなった場合には,損益帳が作成されて主税寮に留められ,正税帳自体は正税返却帳をそえて国司に返却された。正倉院文書には天平年間の多くの正税帳の断簡が残り,「延喜式」には正税帳の書式が規定された。税帳勘会は8世紀末から9世紀にかけて重視されていたが,やがて形骸化し,正税帳も実質的機能を失って吉書(きっしょ)としての性格を帯びるようになった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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