正税(しょうぜい)
律令制下,諸国の郡衙の正倉に蓄えられた最も代表的な官稲。734年(天平6)の官稲混合により,大税(たいぜい)と郡稲その他の雑稲を一本化して成立。田租相当量を蓄積し,賑給(しんごう)など特殊な用途以外は原則として使用せず不動穀(ふどうこく)とする稲穀(とうこく),公出挙(くすいこ)によって運営し利稲を地方行政の経費や中央への進上物の調達経費にあてる穎稲(えいとう)の2種類からなる。収支状況は毎年正税帳を作成し,税帳使により中央に報告された。745年(天平17)正税出挙の国別定数を定め(論定(ろんてい)稲),さらにそのうち約半分を公廨(くげ)稲として別枠で出挙し,正税運営の円滑化を図った。以後,小規模の雑稲を別置することはあっても,大枠は「延喜式」まで変化がなかった。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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