出世景清(しゅっせかげきよ)
人形浄瑠璃。時代物。5段。近松門左衛門作。1685年(貞享2)頃二の替り大坂竹本座初演という。前年,京から大坂に下った宇治加賀掾に対抗した竹本義太夫が,はじめて近松に執筆を依頼した作品。内容は平家の落人景清の源頼朝への復讐を軸に,彼をめぐる2人の女性の生き方をからませたもの。謡曲「大仏供養」,舞曲「景清」などによるが,登場人物の描写にすぐれ,内容も変化にとみ,後世の作品に大きな影響を与えた。初演の年は,東大寺大仏修復の大勧進の開始や,源平合戦の武将たちの五百年忌にあたるのでこの題材が選ばれた。本作を当流浄瑠璃(義太夫節)の最初とし,これより前の作品を古浄瑠璃とよぶ慣習に対し,近年疑義がだされている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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