自由劇場(じゆうげきじょう)
明治・大正期の劇団。2世市川左団次と小山内薫(おさないかおる)が1909年(明治42)に創立し,同年11月に有楽座で第1回試演を行った。技芸員は左団次一座の歌舞伎俳優で,欧米の近代劇運動の例にならい会員制をとり,当時の文壇・画壇・劇壇の人々が参集した。演目はイプセン,ストリンドベリ,ハウプトマン,ウェーデキント,チェーホフ,メーテルリンクなどの当時画期的だった翻訳劇の上演を中心に,吉井勇・長田(ながた)秀雄・秋田雨雀(うじゃく)ら若手作家の戯曲も上演するなど多彩だった。大正期にも公演を重ねたが,19年(大正8)を最後に自然解消した。近代劇・翻訳劇の上演の定着をはじめ,演劇のみならず日本の近代芸術史に残した影響と意義は大きい。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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