朱印船貿易(しゅいんせんぼうえき)
江戸初期,海外渡航許可の朱印状をうけた朱印船による南方貿易。渡航船は1604~35年(慶長9~寛永12)の間に少なくとも350隻余にのぼり,渡航先はルソン,コーチ,トンキン,シャム,カンボジア,高砂(たかさご)(台湾)など広範囲にわたる。派遣者は島津・松浦・細川など主として西国大名,角倉(すみのくら)・茶屋・末吉・末次など京都・大坂・堺・長崎の商人,そのほかウィリアム・アダムズや中国人李旦など在留外国人であったが,幕府の禁教および貿易統制の強化とともに,後年には幕府との関係の深い特権商人に限定されていく。輸出品は銀・銅・樟脳・漆器など,輸入品は生糸・絹織物をはじめ鹿皮・蘇木・砂糖など中国や南方産物資である。1631年幕府は奉書船の制を設けて朱印船の管理と統制を強化し,35年日本船海外渡航の全面禁止に至り,朱印船貿易は終焉した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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