赦(しゃ)

主権者が,恩恵として罪人にかけられた刑罰を赦(ゆる)すこと。確実な最古の例は,孝徳天皇が650年(白雉元)に行ったもの。古代以来,赦は祥瑞・災害・皇族生没などの吉凶事に際して天皇の名において出された。律令には赦の種類の規定はないが,吉凶の大きさに応じて赦される罪の範囲を区別し,常赦・非常赦・大赦が使いわけられ,のちには常赦・非常赦も天下一律に下すことを重視して大赦とよぶようになった。他方,一地方だけに通用されるものは曲赦(きょくしゃ)とよぶ。中世以降は公家の赦とともに幕府の赦が登場し,犯罪の重さに応じて加刑後に赦に浴しうる年限を区別する制がうまれ,戦国大名から江戸幕府・諸大名にうけつがれた。明治期以降,赦は再び天皇大権に属し,第2次大戦後は政府が発するものとなっている。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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