地主制(じぬしせい)
土地を貸して小作料収入を得る地主と,土地を借りて農業経営を行う小作人とで成り立つ経済制度。17世紀には名主(みょうしゅ)の系譜をひき,旧下人(げにん)や傍系血族者などの従属農民に小作させる名田(みょうでん)地主が多かったが,従属農民の自立化と商品経済の進展により,18世紀には質地金融で土地を集積した質地地主が主流になった。ただし領主の規制や請戻しの慣行によって制約されていた。維新後,地主制は地租改正による土地所有権法認と松方デフレの影響などで本格的に展開し,1892年(明治25)の小作地率は40.2%に達する。地主は生産米の半分にも及ぶ小作料を収得し,小作料だけで生活しうる寄生地主も増加した。しかしこうした矛盾は第1次大戦後に小作争議を本格化させ,第2次大戦時期の自作農創設事業と二重米価制により地主制は動揺,戦後の農地改革で一定保有地以外の小作地が解放され,基本的に解体された。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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