寺内町(じないまち)
「じないちょう」とも。戦国期,畿内・北陸・東海地域で真宗寺院を中核に周囲を堀や土石塁で囲って自治的に営まれたアジール的性格をもつ都市的集落。1471年(文明3)蓮如(れんにょ)が開いた越前国吉崎御坊を先駆として,79年町衆が居住する8町を包括した山城国の山科(やましな)本願寺が最初。次の大坂の石山本願寺は,寺内にはじめ6,のちには10の町があり,惣町が自治的に運営した。ほかに摂津国富田(とんだ),河内国久宝寺(きゅうほうじ),大和国今井,河内国富田林(とんだばやし),和泉国貝塚,尾張国富田(とみだ),美濃国円徳寺,伊勢国顕証寺などがある。この時期真宗と対立した法華宗の場合も,摂津国尼崎の本興寺・長遠寺が寺内町を形成した。織豊政権の成立とともに解体した。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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