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私鋳銭(しちゅうせん)

民間で鋳造した銭。古代には,和同開珎(わどうかいちん)など官鋳の制銭を模した私鋳銭がしばしば不法に造られ,犯人に対する厳罰が定められた。中世に入って宋銭など中国の制銭を中心に貨幣流通が発達すると,国内での銭の私鋳はさらに盛んになり,また中国で造られた私鋳銭も流入した。この時代の私鋳銭には,宋銭・明銭模造の精巧なものから打平(うちひらめ)のようなただの金属板までさまざまな種類があり,それぞれが異なった通用価値をおびて流通し,撰銭(えりぜに)の原因となった。現存の私鋳銭のなかで生産地が明らかなものとして,大隅国加治木(かじき)で造られた加治木銭が有名だが,このほかにも銭貨の私鋳は各地で行われ,鎌倉などで遺跡から出土している。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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