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式亭三馬(しきていさんば)

生没 1776~1822.閏1.6 江戸後期の戯作(げさく)者。本名は菊地泰輔。父は江戸の版木師。9歳で書肆に奉公。19歳で黄表紙「天道浮世出星操(てんどううきよのでづかい)」「人間一心覗替繰(のぞきからくり)」を発表したが,「侠太平記向鉢巻(きゃんたいへいきむこうはちまき)」で筆禍をうけた。売薬店を経営する一方で,洒落本「辰巳婦言(ふげん)」「船頭深話(しんわ)」も手がけるが,本質は合巻や滑稽本にあり,「雷(いかずち)太郎強悪物語」は合巻の嚆矢となった。また八文字屋本風の滑稽本「酩酊気質(なまえいかたぎ)」は生酔いを写して新境地を開き,庶民の社交場での会話を活写した「浮世風呂」「浮世床」などで,筆禍の時代を生きる戯作者の一つの方向性を提示した。そこには江戸弁を表記するための工夫もあり,国語学的にも貴重とされる。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)

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