信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)
10世紀初頭,大和国信貴山にこもって修行した命蓮(みょうれん)上人にまつわる三つの説話を表した絵巻。3巻。制作時期は従来12世紀後半とされてきたが,近年,様式的見地から同前半に上げる説が提唱された。上巻は「山崎長者の巻」または「飛倉(とびくら)の巻」,中巻は「延喜加持の巻」,下巻は「尼公(あまぎみ)の巻」とよばれる。「古本説話集」「宇治拾遺物語」に類話があり,「今昔物語集」にも関連説話がみられる。構成力と表現力に優れた平安絵巻の代表作で,遠景から近景まで自在に変化する視点と,躍動的で表情豊かな人物の描写に特徴がある。縦31.7cm,横各879.9cm,1290.8cm,1424.1cm。朝護孫子寺蔵。国宝。 (山川 日本史小辞典(改訂新版), 2016年, 山川出版社)
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